あなたは、睡眠中に「身体がかゆくてガマンできない」、「くしゃみが止まらない」など、なかなか眠れない経験はありませんか?それは、マットレスが清潔ではなく、「ダニ」や「カビ」が発生して、住み着いているからです。
また、高額のマットレスを使っているが、思ったよりも早くヘタったり、やわらかくなったり、期待を裏切られてしまった経験はないでしょうか?
健康で快適な睡眠を得るためには、「寝室の環境」と「寝具の質」によって決まると言われています。特にマットレスは身体全体を受け止める寝具であり、快適な寝心地に大きく関係します。マットレスを清潔に保ち、適切な「お手入れ=メンテナンス」を行うことで、すぐれた性能を長持ちさせることができます。
ここでは、マットレスを清潔に保ち続ける方法と、長持ちさせる方法を確認していきます。
❶マットレスを「せいけつ」に保ち続ける 3つの方法
一つ目は、寝具の活用です。
マットレスの上に敷く「ベッドパッド」と、それを包み込む「ベッドシーツ」を利用します。その理由は、睡眠中に身体から出る寝汗や湿気を吸収し、直接マットレスにしみ込まないようにするためです。皮脂や髪の毛の汚れも防いでくれます。
マットレス本体は、通常は重くて移動も大変で洗うこともできません。ベッドパッドとベッドシーツは、洗うことや交換もカンタンなので、ぜひ活用したいアイテムです。
二つ目は「太陽の恵み」を利用します。
マットレスのタイプによって方法が違います。「スプリングマットレス」は天日干しをし、「ウレタンマットレス」は直射日光を浴びると変色と劣化が進むので、陰干しをします。どちらも、晴れの日に風通しのよいところで乾燥させると効果的です。
特に天日干しは、殺菌と防カビの対策になります。殺菌作用がある紫外線の量が最も多くなる時間帯は、太陽の高度が最も高くなる12時前後に多いので、10時~14時の4時間がおすすめです。1週間~2週間に1度は天日干しするといいでしょう。
三つ目は電化製品の活用です。
マットレスを干して乾燥させたいと思っても、天気が悪くて外やマドを開けて干すことができない場合は、除湿器・扇風機・エアコンなどで風を送って乾燥させると効果的です。
また、マットレスはアレルギーの原因となる「ハウスダスト」(ダニなど)が発生しやすい環境となっています。これを軽減するには、掃除機をかけることが有効な方法です。
コツとしては、タテ方向とヨコ方向にゆっくりと時間をかけ(1㎡あたり20秒程度が目安)、表・ウラ・側面まで、起毛をおこすように動かしてかけると効果的です。
※床やカーペットを掃除した掃除機で、マットレスも掃除することに違和感がある方は、寝具専用に、もう一つヘッドを用意すると清潔に使用できます。
❷アレルギーの原因となる、マットレスの「ダニ対策」3つの方法
一つ目は、①の「マットレスを「せいけつ」に保ち続ける3つの方法」が効果的。
二つ目は、「湿度管理」がとても大切です。
アレルギーの原因となる、室内にいるダニ全体の80%が「ヒョウダニ」と言われています。ダニは、湿度が50%以下になると生きることができません。よく乾燥させることが繁殖を防止する有効な手段です。
マットレスの底面は、湿気が溜まりやすいところなので下に「すのこ」を敷いて使うと湿気対策になります。
三つ目は、防ダニ対策に有効な便利グッズの活用です。
● 防ダニシーツ
超極細繊維を高密度に織り上げ、ダニが入り込むすき間を無くし、寝具に侵入できないように作られています。布団内部に潜んでいるダニもシーツの中に閉じ込めるため、ダニに刺される心配もありません。
● ダニ防除用スプレー
布団にスプレーするだけで、手軽にダニを駆除・予防でき、増殖抑制の効果があります。
● ダニ捕りマット
マットに仕込んだエサの香りでおびき寄せ、生け捕りにし、乾燥させたあと、マットごと燃えるゴミとしてポイ捨てできます。(1万匹以上捕れるようです。)
➌マットレスにカビが生えたらどうしよう!「カビ対策」5つの方法
カビとダニはとても密接な関係にあります。それは、カビの発生するところには必ずカビが大好物のダニも繁殖しているからです。このことから、②の「ダニ対策」もカビ対策に生きて来ます。
カビが発生する要因は3つあります。
❶ 「温度」が20℃~30℃前後がカビの繁殖が活発になります。ただし0℃以上であればカビは活動でき、繁殖のスピードが遅くなるだけです。
❷ 「湿度」が80%以上でカビの増殖が活発になります。ただし部屋の湿度が低くてもカベや建材などに水分が多く含まれていると高湿度になりやすいので常に換気して低湿度を保つことがカビ対策につながります。
➌ 「栄養源」で食品などの栄養素で食べこぼしが大好物で、汚れやホコリ、糸くずなど何でも栄養源になります。特に炭水化物やタンパク質、体のアカや脂肪分はカビの大好物です。
この3つの条件がそろったとき、カビは活動的になり、あっという間に繁殖していきます。ただし、「温度」については、通常の生活を送るうえでは、調整することはほぼ不可能なので「湿度」と「栄養源」に対処することがカビ対策となります。
カビを除去するためのポイントは、「汚れを落とす」ことと「殺菌」することです。
どちらか一方だけでは効果がなく「除去」と「除菌」を必ずセットでおこなうことが確実な方法となります。
①まずは、マドを開けて室内の換気から始めましょう!
雨天以外の日は、常にマドを開放する、または換気扇を回して室内の換気をすることを心がけましょう。空気の流れが良くなり湿度を下げる効果があり、カビの繁殖を防ぐことができます。
室内にはカビの胞子(ほうし=生殖細胞)が空気中に浮遊しているので掃除をするときも換気をして、室外に胞子を追い出します。
雨天の日は、除湿器やエアコンの使用も効果的です。ただし、機器の内部はカビが生えやすいので、こまめにフィルターを清掃しないと、かえってカビの胞子を飛散させることになるので気をつけましょう。
②除菌には「無水エタノール」が効果的です。
「カビや汚れを落としたいけど洗剤は使いたくない」、「なんでも口に入れる子供がいるので安全性が気になる」そして「消毒もできれば、なお安心」など、カビの除菌には、不安要素が多く、気になる方が多いことでしょう。
この不安に対応して万能性にすぐれたのが「無水エタノール(水分が入っていない酒類アルコールの一種)」です。
使い方は、薬局で売っている「無水エタノール」8に対して「水」2を目安にして希釈します。これをアルコール用スプレー容器に入れると除菌スプレーの出来上がりです。エタノールはカビのタンパク質を分解して死滅させる効果があります。また揮発性が高く、速乾性があり、匂いも残らないので手軽に使えます。
③エタノールを扱うときの6つの注意点
❶ アルコール成分で引火性があるので火の気のないところで使いましょう。特に近くでタバコを吸っていないか注意が必要です。
❷ 密室した場所では、気体が充満するので換気をしながら使いましょう。
➌ 漂白作用がないので、黒カビは除去できません。
➍ 対象物によっては、変質・変色・表面が溶けるなど使用できないものもありますので、目立たない局所で試してから使用してください。
➎ 有毒ガスが発生する場合があるので、薬品同士を混ぜて使うのは絶対やめましょう。また、目・はな・口などの粘膜に付くと炎症を起こす場合があるので注意が必要です。
❻ 水分をうばう性質があり、肌の水分もうばってしまうので、手荒れなどの防止にビニール手袋を使用しましょう。
④マットレスや布団のカビの除去と予防4つの手順
❶ まずは、天日干し、または換気をしながら、洋服ブラシなどで表面を軽くブラッシングして胞子を落とします。
❷ つぎに、タオルにエタノールを含ませて、たたくようにして表面をふき取ってカビを除去します。
➌ カビが落ちたら天日干しや布団乾燥機の熱で充分に乾燥させると再繁殖の防止になります。
➍ 押入れ収納するときは、完全に乾かした状態で収納します。押入れ内部は風通しがわるいので、物を詰め込み過ぎないようにしましょう。そして、定期的にトビラを開けて空気を入れ替えたり、常に少しだけトビラを開けておいたりしてカビ発生を予防します。
⑤マットレスの直置きはやめましょう! カビが生えます。
床やタタミの上に直置きすると、マットレスと床の両方に湿気がたまることになり、カビが生える原因となります。また、マットレスと床の間に温度差が生じるため、結露が起こりやすくカビが発生します。
なぜかというと、寝汗や湿気はマットレスの表面からしみ込み、中を通って底面にたまりやすくなっているからです。
たとえば、「腰痛対策マットレス」や「高反発マットレス」など品質が良いマットレスは、快適な寝心地を実現するため、寝汗や湿気によるムレ対策として、通気性をよくして湿気を底面から逃がす仕組みになっています。
このことからも底面に湿気がたまりやすく、マットレスと床にカビが生えやすくなるのがわかります。
理想の対策としては、常に「天日干し」をしたり、マドを開けて立てかけたりしたいのですが、マットレスのタイプによっては、重くて、大きさもあるので、なかなかむずかしいのが実情です。そこで、どうしても直置きにして使いたい場合の対策をご紹介します。
● マットレスの下に「スノコ」を敷いて使うと、床とのすき間ができ通気性がよくなり、湿気がたまるのを防ぎます。
● マットレスの下に「除湿シート」や「敷きパッド」を敷いて使うと水分を吸収してくれるので、湿気が直接床に伝わるのを防ぎます。
➍マットレスをまもり、寝苦しさを解消する3つの方法
マットレスを湿気や汚れから保護して長持ちさせるためには、適切な寝具で「定期的なメンテナンス」とマットレスの「取扱い方法」を知ることです。
①「ベッドパッド」と「敷きパッド」の役割と使い方。
ベッドパッドの大きな役割は「マットレスをまもる」、「水分を吸収し湿度調整する」、「体とマットレスのすき間をうめる」の3つです。
まず、使い方のちがいは「ベッドパッド」はマットレスの上に直接敷いて、その上にマットレスカバー(BOXシーツ)でおおうので直接、肌には触れないので、マットレスを保護することが主体となります。
「敷きパッド」はシーツの上に敷くので直接、肌にに触れるため、マットレスを保護すると共に快適な寝心地を得ることを目的とします。たとえば、冬の寒い時期の「温感タイプ」で身体を温めることや夏の暑い時期の「冷感タイプ」で涼しくすごすことができます。
● マットレスをまもる
睡眠中の汗・皮脂・シミ・ニオイなど体から出た汚れを吸収し、マットレスへのダメージを防いでくれます。メンテナンスもカンタンで、洗濯機で洗えて、清潔に保てるという利点もあります。
● 水分を吸収し湿度調整する
人は、寝ている間に、コップ一杯(約200cc)の汗をかくといわれています。汗によりでた湿気を吸収し湿度調整してくれるので、快適な寝心地を得ることができます。
● 体とマットレスのすき間をうめる
理想の寝姿勢は、真っ直ぐに立ったときと同じ姿勢で、背骨が自然なS字カーブを保つことです。この寝姿勢をサポートしてくれるのもベッドパッドの役割です。仰向け、横向きや寝返りをうったときなど、寝姿勢が変化するわけですが、マットレスと体のすき間をうめて、自然なS字カーブの寝姿勢に近づけてくれます。
②夏の快適な睡眠には、冷感タイプの敷きパッドが最適
敷きパッドはベッドパッドとちがって、直接肌に触れるようにしてつかいます。秋冬の起毛素材の温感タイプと夏の冷感タイプがあります。特に寝苦しさを感じるのは、夏の暑い期間です。この夏に活躍するのが「接触冷感の敷きパッド」です。
特殊なセンイで熱を逃がすように作られており、肌が触れたときにヒンヤリとした感触が特徴です。そこで、選び方のポイントを紹介します。
接触冷温感評価値のちがい
・接触冷感の目安は、「接触冷温感評価値q-max(W/c㎡)」で数値化され、0.2W/c㎡以上が冷感の目安とされています。
- 評価S=0.5W/c㎡以上
- 評価A+=0.4W/c㎡以上
- 評価A=0.3W/c㎡以上
- 評価B=0.2W/c㎡以上(接触冷感の目安になる数値)
接触冷温感評価値 q-max(W/cm2、J/cm2・sec)
熱板にセンサーを重ね、試料との温度差(ΔT:10℃又は20℃)を一定にした後、センサーを試験片に接触させた時の瞬間的な熱の移動量を測定します。数値が大きい程、触れた時に冷たく感じることを表します。一般財団法人ボーケン品質評価機構より引用
吸湿・速乾性にすぐれている
夏の暑さによる寝苦しさは「接触冷感」だけでは、解消されません。寝汗や湿気を吸収し、すばやく乾かす機能がついている「吸湿速乾性」の敷きパッドでなければ快適な寝心地は得られません。「吸水性」と「速乾性」にすぐれたものを選びましょう。
③マットレスを長持ちさせる「取扱い方法」があります。
定期的に正しい「取扱い方法」を実施することで、すぐれた性能を長持ちさせることができます。
正しい取扱い方法
● 1ヶ月に一度はマットレスの「上下」を置き換えましょう。(長くても3ヶ月に一度)
● 3ヶ月に一度はマットレスの「表とウラ」を置き換える。(長くても6ヶ月に一度)
● ベッドパッドは1週間に一度から二度を目安に交換すると清潔に保てます。
● 天気の良い日を選んで、日光にあてましょう。(長くても3ヶ月に一度)
● スプリングタイプのマットレスは「極度に折り曲げる」と内部構造が損傷の原因となります。
● マットレスの上で「飛び跳ねて遊ぶ」のはやめましょう。損傷の原因となります。
近ごろの住宅は気密性が高く冬でも暖かいため、カビにとっては、すごく住みやすい環境になっています。カビ対策をとらないで放置しておくと、家の中は一年中いつでもカビがウヨウヨと繁殖する状態になります。
カビ対策の基本は風通しをよくして家に中の湿気を逃がすことと、食べこぼしやホコリ、体のアカや皮脂などの栄養源をなくすことです。そして、カビの除菌には「無水エタノール」を活用すると効果的だということがわかりました。
マットレスに生えたカビを変色するまで放置した場合はプロの技でも落とすことはとても困難です。
カビが部屋中に常に拡散された状態が続くと「アレルギー性鼻炎」、「アトピー性皮膚炎」などのアレルギー疾患や「水虫」、「真菌性肺炎」などの感染症を引き起こす場合があるので、カビ対策は真剣に取り組みましょう。