働く姿勢や動作を変えると、腰の負担を減らし、痛みがやわらぎます。
職業のちがいにより、「腰に負担がかかりやすい」姿勢や動作に特徴があります。腰痛は、姿勢や動作、働く環境など、さまざまな要因がからみ合って発症するため、それぞれの対策が必要です。
ここでは、腰のつらい痛みをやわらげ、悪化を防ぐため、「仕事の内容」に合わせて、「腰痛のリスク」を減らす工夫と「腰痛対策」について確認していきます。
❶ 事務職でデスクワークが多い人の「腰痛対策」
腰の痛みが3ヶ月以上つづく「慢性腰痛」に悩まされる人は多いですが、特に40代の働き盛りに多く、職業では、前傾姿勢と勤務時間の関係から事務職に多いことがわかっています。
① イスに座るときは、背骨のS字カーブを意識しましょう
事務職の人は、デスクワークで座った姿勢が長時間つづくことや多忙で不規則な生活習慣などが原因で、腰に負担がかかるため椎間板内の圧力が高くなり、腰痛をまねきやすい傾向にあります。
たとえば、電車やバスを利用するとき、「乗り物では座りたい」という人がほとんどで、「座っているほうが楽だ」と思う人が圧倒的です。
しかし、腰にかかる負担は「まっすぐに立っているときの姿勢」の圧力を【100】とした場合で比較すると「イスにまっすぐに腰かけた状態」では【140】と1.4倍にもなります。
「イスに腰かけた状態での前傾姿勢」では、更に負担が大きくなり【186】と約1.9倍にもなるのです。
(スウエーデンの整形外科医の研究結果より)
腰の負担を軽くするためには、背骨のS字カーブを保つように姿勢を意識することです。理想的な姿勢をサポートする方法として、クッションや丸めたタオルを利用することで背骨のS字カーブを保つことができます。
② デスクワーク 「腰の負担が少ない姿勢」 7つのポイント
❶椅子に深く腰かけて背筋を伸ばし、背中を背もたれに付くようにする。
❷できるだけ椅子を机に近づけて座る。肘掛け付きのイスは机の下に肘掛け部分が入るくらいの高さにする
➌腰の部分と背もたれの間に、クッションや丸めたタオルを使い、背骨がS字カーブになるようにキープする。
➍お尻の下に、傾斜タイプの低反発クッションなどを置いて傾斜をつけると、骨盤が身体の前方にかたむき、背骨の自然なS字カーブが保たれるようになります。
➎座面の高さはヒザが自然に曲がる程度で、足のかかとが床から浮かない状態が良いとされています。
❻背もたれの角度は、垂直の状態を90度とすると、「ペンで書類」に書いたり、「ノートパソコン」を使ったりした作業では、前傾姿勢に向いている角度が90度~100度です。
「デスクトップパソコン」の場合は、ディスプレイと体が離れても作業ができるので、垂直からやや後傾の110度位がむいています。
❼デスクワークでパソコンを見る時間や、細かい数字などの書類を見る機会の多い人は、手元から目までの距離は、パソコンで約40cm、書類で約30cm程度に保つと疲れにくくなります。
③ こまめにストレッチを取り入れてリラックスしましょう!
同じ姿勢で長時間作業していると、背中や腰の筋肉が緊張し、椎間板が圧迫されるため腰痛を招きやすくなります。20~30分おきに座ったままできるストレッチを取り入れて、背中や腰の筋肉をやわらげましょう。
ストレッチの手順は次のとおりです。
❶座ったまま、背筋をまっすぐ伸ばした状態から下に向かって背中を丸める
❷顔をヒザの間に入れるようなイメージで、上半身をゆっくり前に倒す
➌脚は肩幅より少し広めに開き、両脚の間に、腕の力を抜いてダラーンと垂らす感覚で10秒間静止する。
この動作を数回繰り返すとデスクワークでの疲れも軽くなります。
❷ 運転を仕事にしている人の「腰痛対策」
ドライバーの仕事の中でも、特にタクシーやトラック、バスのドライバーは腰痛に悩まされている人が多い傾向にあります。
長時間の運転業務で、座りっぱなしの姿勢と同時に手と足も使うため体重のほとんどを腰で支えることになるからです。また、荷物の積み下ろしや、道路の凸凹による車体の振動も腰に負担がかかる要因となります。
何かと腰に負担がかかることが多い職業ですが、腰痛がひどくなり、慢性腰痛になってしまうと運転に支障がでたり、業務時間を短くしたり、最悪の場合は運転の仕事そのものが出来なくなることもあります。
ここでは、「腰痛にならない」、「腰の負担をかるくする」などドライバーの腰痛予防と対策について確認していきます。
① 「腰痛予防」と腰の負担を軽くする運転姿勢は!?
腰痛の人の長時間の運転は、腰痛を悪化させる場合があるので、避けるべきといわれていますが、運転を仕事にしている人にとっては、運転をせずに生活するということは、とても現実的ではありません。
腰痛は、運転中の姿勢により大きく影響します。シートの位置や背もたれの角度を調整したり、クッションや腰まくらを利用して、腰の負担をかるくすることが基本です。
腰への負担を軽くする座り方や姿勢を改善することで、運転を続けることができます。
🔷 運転時の姿勢・シートの「位置や角度」を調整する
● シートに深く座りましょう!
シートに浅く座ったり、シートの位置が後ろすぎたりすると、腰を丸める状態になり、背骨が曲がったまま運転することになります。腰に負担がかかりやすくなるため、できるだけ背中をシートに密着したかたちで座りましょう。
● ペダルやハンドルの運転で楽な位置は?
ペダルはヒザをかるく曲げた状態で足が乗るくらいの位置にシートを調整します。
ハンドルは、握ったときに腕が軽く曲がるくらいの位置にシートを合わせ、深く腰かけて背筋が伸びた状態で運転できるのが理想です。
● 背もたれは、倒しすぎないようにする
背もたれの角度は120度くらいを目安にして、倒した過ぎないようにしてください。倒しすぎると腰に負担がかかりやすくなるからです。120度の傾度は、腰だけでなく背中でも体重を支えられる角度といわれており、腰の負担をかるくします。
腰の部分に、市販のバックレスト(腰当て)を当てると背骨のS字カーブを保つことができるるので腰への負担も軽くなります。また、クッションで代用しても効果があります。
② 腰をひねらないように乗り降りする
長時間にわたり同じ姿勢で運転したあとは、体中の筋肉や神経が緊張しています。特に腰や背中の筋肉に負担がかかっている状態です。運転席から降りる場合は、急な動作をせずに、ゆっくりと慎重に降りるように心がけてください。
手順は次のとおりです。
❶ヒザに体を引きつけて、ゆっくりとシートから上体を起こす。
❷両手で体を支えた状態で腰を浮かせる
➌クルマの外側に向けて、シートの端に座りなおす
※腰をひねらないように、少しず体をずらして無理をしないようにお願いします。
③ こまめに休憩をとり体を動かそう!/ストレッチの方法
長時間の運転で、腰に負担がかからないようにするには、業務に支障が出ない程度に、こまめに休憩をとり、体を動かして筋肉の緊張をほぐしましょう。
理想的な休憩の間隔は、30分~40分おきに1回とるのが良いといわれています。しかし、現実的には、なかなか休憩はとれないものです。少なくとも1時間に1回、長距離の場合は2時間に1回は休憩をとるようにしましょう。
近距離を繰り返し運転する業務の、タクシー運転手やトラックの配送業務では、運転中の合間をみて工夫することで、こまめに休憩をとることができます。
たとえば、お客様を待っている合間に外に出て体をほぐす。配達先に着いた時や、次に出発する前に体をほぐすなど、ちょっとした合間を利用することで体をリフレッシュすることができます。
🔷 休憩中のストレッチで腰や背中の筋肉を伸ばす
休憩がとれた時は、車から降りて、周辺をウオーキングしたり、ストレッチしたりして体をほぐしましょう。
運転業務中は、休憩をとるとしても、車から降りられない場合もあります。そんな時は、安全な駐車スペースで、シートに座ったまま背伸びをするなどカンタンな運動でも体をほぐすことができます。
🔷 車から降りて、ストレッチしましょう。
肩幅と同じくらいに脚を開いて立ちます。次に両手を腰に当てた状態で鼻から息を吸い、息を口から吐きながら3秒かけて、上半身をゆっくり反らせ、静止してから元にもどします。この動作を5回繰り返すと、腰や背中がほぐれます。
🔷 車から降りられない場合、車内で出来るストレッチは!?
● わき腹ストレッチ
わき腹伸ばしは、「肩こりや猫背の改善」、「肩の回転がラクになる」「姿勢がよくなる」などの、うれしい効果があります。
手順は次のとおりです。
❶シートに深く座っている状態から、体を前にずらして浅く座ります。
❷両手を上にバンザイした形から腕を曲げ、両方のヒジを手でしっかりとつかみます。頭の上で四角い形になる感じです。
➌両手のヒジをしっかりつかんで、真横にゆっくりと息を吐きながら、わき腹を伸ばす感じで真横に倒します。左右ゆっくりと痛みが強く感じない程度に5回ずつ繰り返します。(イタ気持ちいいの感じで)
● 背中のストレッチ
背中の筋肉を伸ばすと、首こり、肩こり、背中の痛みを解消します。このストレッチも「肩全体の動きがよくなる」、「猫背を解消する」など、うれしい効果があります。
手順は次のとおりです。
❶体の前で手のひらを組み、左右の肩甲骨を開くような感じで、息を吐きながら腕を前方にグーっと伸ばします。
❷前に組んだ手をはなし、ゆっくりと車の天井を見上げながら、左右の肩甲骨を近づける感じで、息を吸いながら両ヒジを背骨に持っていくように後ろに引きます。
➌息を吐きながら腕を前方にグーっと伸ばす。息を吸いながら両ヒジを背骨に持っていく。この動作を5回ずつ繰り返しましょう。疲れがたまっているときは8回以上繰り返すと体がほぐれてきます。
こまめに休憩をとり、ストレッチで腰や背中の筋肉を伸ばします。車から降りて出来るストレッチと、車から降りられないときの、車内でシートに座りながら出来るストレッチがあります。
車の乗り降りには、注意が必要です。シートに座るときやシートから降りるときは、中腰の姿勢で腰をひねらないように充分注意してゆっくり動くようにしましょう。
➌ 重い荷物を運ぶことが多い仕事の人の「腰痛対策」
運送業務や建設、土木現場の作業員、引っ越しスタッフなど、業務内容のほとんどが重い荷物を運ぶ仕事の人は、荷物の上げ下げなど、荷物を運ぶたびに腰や腰椎(背骨)に大きな負担がかかるため、ギックリ腰や慢性腰痛に悩まされやすいものです。
腰に負担がかかる具体的な作業動作は、「重量物を頻繫に抱きかかえる」、「重量物を頻繫に持ち上げる」、「重量物を押したり、引いたりする」など重量物の取り 扱い際に発生する動作です。
また、作業姿勢は、「腰を深く曲げる」、「腰をひねったりすることが多い」、「急激な姿勢の変化」、「長時間、同じ姿勢で仕事をする」など、重量物を運ぶときの、腰に負担がかかる姿勢です。
ここでは、どのようにすれば腰に負担がかからないように作業が出来るのかを、姿勢や動作について確認していきます。
① ヒザや股関節をつかって、腹筋と背筋で持ち上げる
腰への負担を減らすには、重量物を取り扱う際の作業姿勢・動作について注意が必要です。急激な体の移動をなくし、体の重心の移動を少なくするなど、できるだけ腰に負担をかけないような姿勢で行うことが基本となります。
作業をはじめる前にストレッチや準備運動をしっかり行って、背中や腰の筋肉を温め、柔軟性のある体にしておきましょう。
🔷 重量物の持ち方と動作は !?
●床面から荷物を持ち上げる場合の手順
❶できるだけ重量物に体を近づけ、上半身をまっすぐに保ったまま、片足を少し前に出し、ヒザを曲げ、腰を十分に降ろして、重心を低くするような姿勢をとります。
❷荷物を抱え、お腹にそわせるようにして、おへその高さまでゆっくり持ち上げます。
➌呼吸を整え、腹筋と背筋に力を入れ、ひざと股関節を意識的に使って、ヒザを伸ばすことによって立ち上がる感覚で、ゆっくり立ち上がります。
荷物を持ち上げたら、背筋を伸ばした状態で腰をひねらないようにします。
腰への負担を減らすには、荷物を体に近づけてから腰を落とし、ヒザを曲げ、荷物を抱え、腹筋と背筋に力を入れてしっかりと持ち上げます。ヒザと股関節を意識的に使うことがポイントです。下ろす時も同様に行います。
🔷 動作別「腰痛」発生割合
対象・動作別発生割合では、「荷物を下から持ち上げる」動作が半数近くを占め、次いで、「荷物を前後左右に移動する」、「荷物を上から降ろす」動作の順で多くなっています。
●荷物を下から上へ : 持ち上げ、積み込み、引き上げ等 【45.8%】
●荷物を前後左右へ : 運搬、移動、押し引き、陳列、ずらす【18%】
●荷物を上から下へ : 荷降ろし、上から降ろす 【14.1%】
●人の介助など : 人を取り扱う、人が介在する動作 【3.2%】
●荷物(不動) : 物を持って振り返る、背負う動作等 【2.5%】
●荷物(制動) : 荷を支える、荷を受け止める動作等 【2.5%】
●その他 : かがむ、中腰になる、長時間かがむ姿勢から立ち上がる等【13.8%】
荷物を「下→上」と「前後左右」の動作で、全体の60%以上の腰痛発症割合となっているので、この二つの動作は、特に注意が必要です。
( 厚生労働省「職場における腰痛発生状況の分析について (基安労発第 0206001 号)より)
② 腰痛が発生した場合の休業見込み日数について
腰痛を発症した場合の休業見込み日数は、29日以上が4割以上を占め、15日以上の休業見込みが、約半数となっています。
●運輸交通業における休業見込日数
●8~14日 【28.0%】
●15~21日 【11.0%】
●22~28日 【3.8%】
●29日以上 【 41.8%】
( 厚生労働省「職場における腰痛発生状況の分析について (基安労発第 0206001 号)より)
腰痛が発症すると、長期療養のため仕事を休むこともあります。つらい痛みもともなうため日常生活にも影響するので、腰痛予防には真剣に取り組みましょう。
➍ 看護・介護の仕事をしている人の「腰痛対策」
看護や介護に従事している人は、患者さんの治療や介助のために中腰の姿勢をとる事が多く、患者さんを抱きかかえて移動させることもあります。腰への負担がかかる動作が多いため、腰痛をまねきやすい仕事といえます。
患者さんの「生命・健康」にも関わるという使命感を持っている人が多く、「腰痛」があってもなるべく休まずにムリをして 看護・介護作業を続けてしまいがちです。
厚生労働省の、「業種別腰痛発生割合」の統計では、「保険衛生業」はトップで業種全体の約24%となっていますが、看護・介護従事者の人は、腰痛で休んでも労災として申請することが少ないため、統計上の件数は少なく抑えられているといわれています。
しかし、看護・介護現場での実態調査では、表にでてこない腰痛の実態は、かなり深刻で調査報告によると50%~70%の人が腰痛をかかえているのが現状です。
このように、腰痛をかかえている人の割合が多い看護・介護現場ですが、何らかの腰痛予防対策をとっている病院は、約40%にすぎないため、個人が独自での腰痛予防に頼らざるを得ない状況にあります。
こうしたことから、看護・介護従事者は、腰痛のため、仕事を辞めざるを得ないという傾向が増えてきており、「腰痛対策」は深刻な問題で、腰痛予防に真剣に取り組むことが重要な課題です。
ここでは、腰痛予防のための「作業姿勢・動作」について確認していきます。
① 災害性腰痛の要因は「抱え上げ作業」と「移乗介助作業」で多発
「人力 による人の抱え上げ作業」は、細心の注意を払って抱え上げなどをする必要があり、 身体の負担は「物」を対象とする場合と全くことなってきます。
たとえば、女性が、継続作業の場合に取扱える重量の上限が20kgであるといわれています。
実際に病院で看護の対象となる「人」の体重を考慮すれば、看護者の負担が20kgを下回るように複数人で分担して抱え上げ作業を行うことが理想ですが、実際の看護・介護作業の現場では、人手不足やシフトの調整で現実的にはムリがあります。
作業姿勢・動作の災害性腰痛の要因で「移乗介助(いじょうかいじょ)」の作業中に多発していることがよく知られています。「移乗」とは位置から位置へ「乗り移る動作」のことです。
たとえば、病院では、「ベッドと車椅子間」の移乗、 「ベッドとストレッチャー間」の移乗、「ベッド上での患者の移動」、「ベッド上での処置の動作の連続」などが例としてあげられます。他に、「トイレの便座へ」、「入浴する」、「乗り物へ移動」があります。
② 介護や看護では前屈姿勢が多い/ヒザを使い腰への負担を減らす。
もっとも負担が大きいのは、ひざを伸ばしたまま腰を曲げる中腰姿勢です。ベッド上での患者さんの移動および治療や処置の動作の連続が腰に負担がかかります。
中腰姿勢を避ける準備姿勢は、片ヒザをついたり、身をかがめる前にひざを曲げたり、ひざを上手に使うことです。ヒザを曲げることでクッションの役割をします。
🔷 イスから立ち上がらせるときの介助
椅子から立ち上がらせるときは、患者さんの体重が自分に寄りかかるため、腰への負担が大きくなります。腹筋と背筋に力を入れて、ヒザを使って起こすのがコツです。
●イスから立ち上がらせる場合の手順
❶患者さんには、イスに浅く腰かけて、前傾姿勢になってもらう
❷できるだけ患者さんに近づき、脚を広めに開いてひざを曲げ、腰を落とします。上半身だけを、かがめて中腰にならないように注意する。
➌患者さんのベルトなどをつかみ、合図をし、1、2、3と声をかけタイミングを合わせ、持ち上げるように立ち上がらせる。
🔷 腰に負担がかからない「作業姿勢と動作」
看護・介護の現場では、移乗介助・移動介助等における、抱え上げ、不自然な姿勢(前屈、中腰、ひねり、反り等)での作業が多くなります。
不安定な姿勢での作業頻度が高かったり、同じ姿勢での作業時間が長かったりして、腰に負担がかかりやすい姿勢や動作が連続して発生しております。
要因となる作業内容は、多岐にわたります。(一例)
●体位変換 ●排泄介助 ●おむつ交換 ●清拭 ●食事介助
●更衣介助 ●入浴介助 ●移乗介助 ●移動介助
③ 「抱え上げ」作業時の4つの対策
●移乗介助 ●入浴介助 ●排泄介助での、患者さんの抱え上げは、腰痛を発 生させる要因の中でも、とても大きな要因となっております。
腰への負担を軽くするためには、原則として人力での抱え上げは行わないようにして、福祉用具を優先して活用することです。
しかし、現場の状況では、福祉用具の利用が困難で、患者さんを人力で抱え上げざるを得ない場合があります。
人力での抱え上げは、患者さんの状態や体重等を考慮して、前屈姿勢や中腰等の不自然な姿勢はとらないように注意が必要です。一人で作業することは、できるだけ避けて、身長差の少ない2名以上で作業します。
❶体を患者さんに近づけて作業する
作業においては、患者さんとの距離が遠いほど、腰への負担は大きくなります。ベッド上での体位変換や移乗介助では、片ヒザや手をついて患者さんにできるだけ近づくようにします。
❷ベッドを作業しやすい高さに調節する
おむつ交換や清拭など、前傾姿勢での作業は、腰に大きな負担となります。できるだけ前傾姿勢を避けるため、ベッドの高さを、看護者の腰のあたりまで上げて、ベッドに手やヒジをつきながら作業できるようにします。
➌低い姿勢での作業はヒザを曲げる
患者さんに靴を履かせる、脱がせるなどの低い姿勢での作業は、前傾姿勢にならないように、ヒザを曲げたり、片脚を一歩前にだして片ヒザをついたりして、できるだけ患者さんに近づいて作業します。
➍患者さんの正面を向いて作業する
食事介助をするときの、イスに座った状態での体のねじれは、腰への負担が大きくなります。イスは、座面の高さを調整できる機能付きのタイプを用意して、腰に楽な高さに調整します。
患者さんの正面を向いて作業すると、ねじれの解消と腰の負担を軽減できます。ベッドの上で、腕をのばした状態での看護や介護は、腰や背中の負担になります。ベッドガードにもたれたり、ベッドテーブルでヒジを支えたりして介助すると、腰への負担も軽くなります。
要因は前屈姿勢や中腰等の不自然な姿勢をとることが多いためです。
腰への負担を軽くするためには、片ヒザをついたり、身をかがめる前にひざを曲げたり、ヒザを上手に使うことです。ヒザを曲げることでクッションの役割をします。
患者さんの状態や体重等を考慮して、一人で作業することは、できるだけ避けて、身長差の少ない2名以上で作業するようにしましょう。
●事務職でデスクワークが多い
●運転を仕事にしている
●重い荷物を運ぶことが多い仕事
●看護・介護の仕事
この4つの仕事の「腰痛対策」には、共通している腰痛予防のポイントがあります。
❶腰痛の要因の作業姿勢は「腰を深く曲げる」、「腰をひねったりすることが多い」、「急激な姿勢の変化」、「長時間、同じ姿勢で仕事をする」が連続して発生していること。
❷背骨がS字カーブになるようにキープする。腰の部分と背もたれの間に、クッションや丸めたタオルを使うと効果的。
➌休憩中は、意識してストレッチで腰や背中の筋肉を伸ばす。
➍作業する時は、ヒザを曲げ、腹筋と背筋に力を入れてしっかりと持ち上げる。ヒザと股関節を意識的に使うことがポイントです。
何かと腰に負担がかかることが多い職業ですが、腰痛がひどくなり、慢性腰痛になってしまうと仕事内容に支障がでたり、業務時間を短くしたり、最悪の場合は、仕事そのものが出来なくなることもあります。
「腰痛対策」は深刻な問題です。毎日の仕事を無事にすごせるように、腰痛予防に真剣に取り組みましょう。
あなたの「腰痛改善」に役立つことを心から願っております。