腰痛を正しく理解する/基礎知識5つのポイント

腰痛の基礎知識 非特異的腰痛 腰を支える4つの筋肉 腰痛の危険因子

あなたは、腰痛の原因は腰の異常だけではなく、日常生活のなかにも危険因子(発症の危険性を増大させる可能性のある物事)があることを知っているでしょうか?

腰痛に悩んでいる人の大部分は手術を必要としない腰痛です。

整形外科で精密検査をして痛みの原因が判明するのは、全体のわずか15%といわれています。残りの85%の人は、病的な異常が見当たらない腰痛です。

ここでは、「腰痛を正しく理解する」5つの基礎知識を学んでいきます。

腰痛の予防は、普段の姿勢や生活習慣の改善から

腰痛でよく知られている症状では、「椎間板ヘルニア(ついかんばん)」があります。椎間板は20代から老化が始まるといわれていますが、長年お世話になっている専門医の話では、53歳の方でも、20代と変わらない椎間板を維持できている方がいるようです。

その理由を聞いてみると、若いときから、普段の姿勢や生活習慣を注意すること、適度な運動をしたり、肥満に気を付けたり、スリムな体型を維持することを心がけているとのことでした。

このことから、日常の生活習慣が、背骨に与える影響が大きいことがわかります。腰痛が悪化してから薬や注射に依存する前に、運動不足や肥満など腰痛を発症させる生活習慣を改善することから始めましょう。

生活環境では、枕、マットレスなど、腰にやさしく改善し、腰痛を予防することがとても大切になります。

このように、病的な異常が見当たらない腰痛が増えてきている背景には、生活習慣の乱れの他に、心理的、社会的な要因も大きく関係していることが近頃わかってきました。こうしたことから、腰痛を完治させるということは現実的にむずかしくなってきています。

「痛みを100%取り除く」というよりは「痛みとつきあいながらも快適な日常生活を送れるようにする」ことに変わってきました。あなたも、これからは受け身ではなく、腰痛予防や生活習慣の改善に前向きに取り組む姿勢が必要になってきます。

❶ 慢性腰痛のほとんどは原因不明/非特異的腰痛

非特異的腰痛 腰痛以外の症状 X線やMRIで異常なし

腰の痛みが3ヶ月以上つづく「慢性腰痛」に悩まされる人は多いですが、その85%が検査をしても原因を特定できません。特に30~50代の働き盛りに多く、職業では、前傾姿勢と勤務時間の関係から事務職に多いことがわかっています。 

整形外科を受診すると、レントゲンやMRIなどの画像検査が行われることがありますが、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさく)」といった病名が判明するのは全体の15%程度にすぎません。このように、原因を特定できる腰痛を「特異的腰痛」と呼びます。

画像検査では、腰椎に加齢による影響以外の異常がなく、脚のしびれや痛みなどの症状もない。腰痛を引き起こすような、思い当たる病気もないのに腰痛が長く続くという状態を「非特異的腰痛」と呼びます。

それでは、「ぎっくり腰」はどちらになるのでしょう? 椎間板や腰椎など、周辺組織のどこかが傷ついて起こるのですが、画像検査をしても損傷部位や異常が見当たらないので「非特異的腰痛」と診断されます。

一定しない腰の痛みに、長い間なやまされる

特徴は、肉体的に特別な異常が見当たらない、腰のどのあたりが痛いのか、はっきりわからず、痛みが強い日もあれば、軽くて調子がいい日もあるなど、日によってまちまちです。

頭痛や胃痛がするなど腰以外の「ズキズキした痛みや、うずき」を抱えている、といったことがあげられます。特に40代以上の方にに多く、女性は男性の2倍いるといわれています。

「非特異的腰痛」と診断されると不安に感じたり、納得できないこともあり、「ストレスで腰痛がなぜ起こるんだ」と腑に落ちない感情に駆られます。

胃痛や頭痛がストレスで起こることは誰でも知っていますが、腰痛もストレスが原因で起こることがある、ということを知っていれば原因がわからなくても不安にならなくて済みますね。

❷ 脊柱(背骨)が頭と体を支え、動かしている

背骨の仕組み 24個の椎骨 頚椎7個 胸椎12個 腰椎5個 仙骨尾骨

腰痛の主な原因は脊柱(せきちゅう)、神経、筋肉にあります。脊柱(背骨)は、どんな形をしていて、どんな働きをしているのか知っておいたほうが、腰痛について理解しやすくなります。体の仕組みについても知っておくことが、とても大切です。

脊柱(背骨)には「上半身を支える」「体を前後左右に動かす」「中枢神経の脊髄(せきずい)を保護する」、この3つの大切な働きがあります。背骨は1本のまっすぐな骨ではなくて、「椎骨(ついこつ)」と呼ばれる小さな骨がいくつも連結されてできています。

腰の部位の5つの椎骨が「腰椎」

頭のほうから順に、「頚骨(けいこつ)」が7個、「胸骨(きょうこつ)」が12個、「腰椎(ようつい)」が5個と計24個の椎骨で構成されています。その下に大きい骨の仙骨(せんこつ)、一番下に退化した尾骨(びこつ)と部位ごとに分けられ、このうち腰椎の部分が「腰」にあたります。

24個の椎骨と仙骨、尾骨を合わせて計26個からなる脊柱(背骨)は自然なS字カーブを描くことで、重い頭部と体を支えるとともに前後左右に動かすこともできるのです。

たとえば、有名なフィギュアスケート選手が演技した「イナバウアー」は前足のひざを曲げて、後ろ足を伸ばし、両足のつま先を外側に大きくに開いた状態を維持しながら横に滑るわざです。

選手によっては、上半身を大きく後ろにそらす演技もプラスした華麗なわざです。これも背骨が一本のまっすぐな骨ではなくて、一つ一つの椎骨が細かく微妙に動いて可能にしています。

24個ある椎骨の間には、椎骨同士がぶつかって痛まないように、クッション材の役割を果たしている「椎間板」と脊柱を支えて腰の動きを担っている「椎間関節」があります。

背骨の中を脊髄が通っている

腰椎の仕組み 椎骨 馬尾 椎間板 神経根 脊柱管 椎間関節 棘突起

脊柱には「脊柱管」と呼ばれる空洞が上から下まで続いており、真ん中に中枢神経の「脊髄」という親指くらいの太さの神経が入っています。脊髄には運動神経や感覚神経が通っていて、傷害を受けると、麻痺が起こったり、感覚障害が起こったりします。

➌ 腰を支え、安定性を保つ、4つの筋肉

腰を支える4つの筋肉 脊柱起立筋 腹直筋 腸腰筋 大殿筋

筋肉によって、脊柱(背骨)を支えることで姿勢が保たれ、歩くことや運動ができます。小さな骨がいくつも連結されてできている脊柱は、そのままでは不安定で「グラグラ」します。これをガッシリと支えているのが筋肉です。

加齢や運動不足により、筋肉が弱くなると、脊柱を充分に支えられないため、姿勢がわるくなり背骨が曲がったり、動作がにぶくなったりして腰痛を引き起こす原因になります。重要な筋肉は「脊柱起立筋」「腹直筋」「大殿筋」「腸腰筋」の4つです。

腰回りの筋肉のおかげで姿勢が保たれ、運動をスムーズに行うことができます。それぞれの筋肉の役割を確認していきます。

① 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)/背骨をしっかりと支える

背骨に沿った筋肉を総称して、脊柱起立筋と呼びます。背骨を支える筋肉の中でもっとも大きく、前かがみになったり、上体を起こしたりする動作を担っています。あらゆるスポーツの動きに関係しており、特に上半身を安定させる働きがあります。日常生活では、「腹直筋」よりも忙しく働くため、持久力も必要とする筋肉です。

② 腹直筋(ふくちょくきん)/腰の屈伸運動や回転に関わる

通常は腹筋と呼ばれている筋肉で、お腹の前面に縦走(たてにはしる)している平らで長い筋肉です。日常生活では、あお向け姿勢から起き上がるときや、姿勢の安定に関係します。

本来の働きは、腰の前屈運動を主体とし、側屈や回転動作にも貢献します。また、腹部の臓器を保護し、腹圧の維持と正しい位置におさめる役割があります。生理現象に関しては、排便、分娩、嘔吐、咳のときにも筋肉が関係しています。

③ 大殿筋(だいでんきん)/腰椎を下から支える

大殿筋はお尻を支える筋肉のなかでもっとも大きな筋肉であり、筋肉の部位としても、体の中で最大の面積を占めています。骨盤と大腿骨(だいたいこつ)をつなぎ、腰椎(ようつい)を下から支えて動きを安定させる働きがあります。

また、大腿部(太もも)の前面と裏側の大きな筋肉と協同して、下半身を安定させ、上半身をしっかり支える働きもしています。

日常生活では、歩く、走る、立つ、座るなど全ての日常動作に関係します。スポーツでは、ダッシュ(瞬発力)やジャンプ(跳躍力)の動作など股関節の伸展動作(伸ばし、ひろげる)が、ともなう全てのスポーツ運動に大きく貢献します。

④ 腸腰筋(ちょうようきん)/前屈動作を安定させる

腰椎と大腿骨をつなぐ筋肉を総称して腸腰筋と呼びます。骨盤を支えたり、股関節の前屈や外旋運動(がいせん)をさせる最も重要な筋肉です。

股関節外旋は「つま先を外側に向ける」「太ももの正面を外側に向ける」という動きのことです。たとえば、 普段の生活で「あぐらをかく」、スポーツで「相撲の練習で四股を踏む」などの動作があります。

日常生活では、太ももを上げたりする動作に深く関係するため、腸腰筋が働かないと足を上手く持ち上げることができないため、階段を昇る時など、足が引っかかって転倒する場合もあり、とても危険です。

スポーツでは登山で斜面をのぼる動作やサッカーでボールを蹴る動作に大きく貢献します。

このように、4つの重要な筋肉は各方向から背骨を支えています。
たとえば、かがんだり、後ろに反ったりするとき、筋肉は背骨から伸びているワイヤーロープのように動きをコントロールする働きをします。

整形外科で治療を受けていると、腰の負担を軽減し、正しい姿勢を保つため「コルセット」の装着を勧められることがありますが、これと同じような働きをするのが筋肉であり「自然のコルセット」なのです

筋肉が萎縮すると、脊柱を支える力が弱くなる。

筋肉が萎縮 加齢や運動不足が原因 脊柱を支える力が弱くなる

加齢や運動不足により、筋肉が萎縮(いしゅく)すると、背骨を支える力が弱くなるため、背骨のS字カーブが失われ、正しい姿勢を保てなくなります。

たとえば、20代の若いころは、普段の生活も活発でスポーツも頻繫に行っていることから、筋肉がしっかり働いているときです。背骨を4つの筋肉で支えているため、自然なS字カーブを保つことができています。 

背骨が前後左右に動くのをしっかり支えることができて、体の曲げ伸ばしがスムーズです。歩く姿も背筋を伸ばして、颯爽(さっそう)としています。

ところが、加齢や運動不足になりがちな40代以降になると、脊柱を支える筋肉が萎縮するようになり、背骨をしっかりと支えることができないため、S字カーブが失われ、正しい姿勢を保てなくなります。

背骨の動きがスムーズでなく、バランスもよくありません。歩く姿も腰が曲がっていたり、まっすぐ歩けなかったり、どこか「フラフラ」してみえます。ただし、筋力トレーニングを取り入れることで何歳からでも、筋肉の萎縮を防ぐことができます。

➍ 腰痛の原因は、骨の変化と7つの危険因子

腰痛が起こる要因の一つに、加齢による背骨の変化があります。背骨の中でも椎間板は20代から老化現象が起こるといわれており、水分量の減少により変化が起こってきます。その結果、椎骨に骨棘(こっきょく)ができることもあるのです。

誰にでも背骨の変化は起こりますが、これだけでは、腰痛が起こることは、ほとんどありません。何らかの理由で危険因子が加わると発症することがあります。

骨棘(こっきょく)が神経を圧迫すると痛みが起こる

骨の老化は椎間板から始まる 骨棘ができる 骨棘が神経を圧迫

骨の老化の多くは、椎間板から始まるといわれています。椎間板とは、椎骨と椎骨の間に存在する軟骨です。構造は、中心に水分を多く含むゲル状の弾力に富んだ「髄核(ずいかく)」と、その周囲を丈夫なコラーゲン繊維の「線維輪(せんいりん)」が包んでいます。役割は脊柱に可動性を持たせながら衝撃的な力を柔らげる働きをします。

加齢により、水分量が減少すると、クッション性が失われたり、薄くなったりして、椎間板が変性(量的・質的に変化)してつぶれます。

変性により、椎間関節にかかる力が大きくなると、骨同士が、ぶつかったり、接触面がすり減ったりして、関節面の軟骨が次第に骨化して小さな棘(とげ)のような「骨棘(こっきょく)」がつくりあげられます。これは骨の異常を修復して椎間板の機能の低下を補うためです。

骨棘ができると、椎骨の動きの範囲がせまくなりますが、これだけで痛みは起こりません。しかし、脊柱管の付近にできると脊髄や馬尾神経の通り道が狭くなり圧迫されて、痛みが起こります。また、変形した椎間板が神経を圧迫することでも痛みが起こります。

たとえば、身近なところでは、年齢を重ねていくと次第に肌の水分量が減少することから、シワができたり弾力性が失われ、みずみずしさが、なくなってきます。

骨も同じように、加齢にともなって水分量が減少すると、古い細胞などを新しく作り変える働きの「新陳代謝」が衰えてきて、変性が起こるのです。

腰痛の危険因子7つをチェックしてみましょう!

7つの危険因子は腰痛の発症や悪化に大きく影響していることがわかっています。あなたに当てはまる項目が多いほど発症リスクが高まります。

①から⑦にかけて、順番に改善の難易度が高くなっていきます。
①~⑤はあなたの努力次第で改善できる可能性があります。
⑥⑦は避けられない項目です。

  1. 運動不足:筋力の低下や肥満により、腰を支える能力の低下や負担が大きくなり、腰痛を招きやすくなります。
  2. 喫 煙:タバコに含まれる「ニコチン」が椎間板に悪影響を与えます。椎間板そのものには血管がないため、周囲の毛細血管から吸い取るように栄養分を補給しています。喫煙すると、「ニコチン」が毛細血管を収縮させ血行不良が起こり、充分な栄養補給ができなくなるため、椎間板の変性を促進させます。
  3. 仕事で腰に負担がかかる姿勢が続く:デスクワークで座った姿勢が長時間つづくことや多忙で不規則な生活習慣などが誘因になることがあります。

    たとえば、電車やバスでは、「乗り物では座りたい」という人がほとんどで、「座っているほうが楽だ」と思う人が圧倒的です。

    じつは、腰にかかる負担は「まっすぐに立っているときの姿勢」の圧力を【100】とした場合で比較すると「イスにまっすぐに腰かけた状態」では【140】と1.4倍にもなり、「イスに腰かけた状態での前傾姿勢」は【186】と、約1.9倍にもなるのです。(スウエーデンの整形外科医の研究結果より)
  4. 業務内容が負荷の大きい職業に就いている:運送・運搬業や介護施設など、重い物を上げたり押したり、人を介助する動作など中腰の多い職業では腰に大きな負担がかかりやすくなります。
  5. ストレス:職場での人間関係や家庭内では子供の教育・親の介護、夫婦間のトラブルなど精神的なストレスが腰痛の誘因になることがあります。
  6. 遺伝的な体質を持っている親が「椎間板ヘルニア」を発症したことがある場合、子供も発症しやすいという遺伝的な要因が大きいという報告があります。「理化学研究所」の研究結果では、THBS2遺伝子を持つ人は持たない人に比べて約1.4倍もかかりやくなり、さらにMMP9遺伝子と二つの遺伝子を併せ持つと、約3倍もかかりやすいことがわかっています。
    研究チームは、日本人を対象に遺伝子多型を使って相関解析を行ないました。その結果、THBS2 に 1 塩基変異(多型)を持つと、持たない人に比べて約 1.4倍もかかりやすくなることがわかりました。さらに、MMP9 遺伝子でも同様の結果となることを見いだしました。この 2 つの遺伝子に多型を持つ日本人は、約 3 倍も椎間板ヘルニアにかかりやすいことがわかりました。             独立行政法人 理化学研究所より引用
  7. 加 齢:加齢にともない筋力の低下や骨量の減少と変形が起こる「退行変性(老化現象)」がすすみ、背骨をしっかり支えることができなくなってきます。骨・関節の病気の中で、もっとも発症頻度が高い「腰椎椎間板ヘルニア」の好発年齢は20代~40代が最も高く、次に40代~60代と、加齢により増えていきます。

加齢により変化した骨に、腰に負担がかかる労働や動作、ストレスなどの危険因子が加わると腰痛の発症が高まります。できるだけ危険因子を減らすように心がけ、努力して改善することが大切です。

➎ 腰以外に痛みが起こることもある/坐骨神経痛

腰痛のなかには、腰以外に痛みをともなうものが、大きく2つに分けられます。

  • 一つ目は、「放散痛(ほうさんつう)」
    ある動作をすると「お尻、脚、お腹」など、腰以外の部分にも痛みがひびくような症状です。たとえば、「歩くとき、座ったり、立ったりしたときに脚の裏側が痛くなる」という症状です。このような症状を「坐骨神経痛」と呼びます。
  • 二つ目は、「関連痛(かんれんつう)」
    動作や姿勢とは関係なく、痛みのある腰以外のはなれた部位に感じる痛みのことを指します。

「放 散 痛」 坐骨神経とは末梢神経の束

坐骨神経とは、脊柱管を通っている中枢神経の脊髄から枝分かれした末梢神経の束となったものです。腰椎と腰椎の間や仙骨からでた神経が1本になり、下肢(脚部全体)の裏側まで続いています。体のなかでもっとも太い神経で、一番太いところでは親指ほどの太さがあり、長さも約1メートル以上あるといわれています。

坐骨神経痛の症状は脚の裏側に現れる

圧迫や締め付けなど、何らかの原因で坐骨神経に異常がでると、お尻や太ももの裏側など電気が走るような痛みや、しびれが起こります。症状が重くなると筋力が弱くなり脚全体に力が入らなくなることもあるのです。

坐骨神経痛の症状 お尻や太ももの裏側に痛みと痺れ 筋力の低下

おもな原因は腰椎の変性や変化で起こる「腰椎椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」によるもので、年齢や動作により痛み方も違ってきます。

どのような動作の時に痛みが起こるかというと、若い世代の多くは「腰椎椎間板ヘルニア」による圧迫が原因で、「腰を前に曲げたとき」や「痛むほうの脚を上げたとき」に痛みが起こったり、ひどくなったりする傾向があります。要因は、激しい運動や重労働をする機会が多いことが一因といえます。

10〜40歳代の若い世代に多い腰痛の原因が、椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは、腰にある神経が圧迫されて、痛みやしびれなどの症状が現れる病気です。     NHKテキストviewより引用

年配の人の多くは、「脊柱管狭窄」による圧迫が原因で、「背中を後ろに反らせたとき」に痛みが起こったり、ひどくなったりする傾向があります。要因は加齢による骨の強度が弱くなることや、変化することが一因といえます。

「関 連 痛」 動作と関係なく痛む場合は要注意

動作や姿勢とは関係なく、痛みのある腰以外のはなれた部位に感じる痛みのことを指します。原因は様々な内臓の病気によって引き起こされる場合が多いです。たとえば、腰痛とともに胃やみぞおち、背中にも痛みが続く場合は、急性胃炎、十二指腸潰瘍などの病気が疑われることがあるので、注意が必要です。

腰以外の痛み 関連痛 内臓の病気 放散痛 坐骨神経が圧迫される

関連痛には重大な病気が隠れている場合があるので、期間をおかずに整形外科を受診して原因を確かめることが大切です。

急性胃炎や胃十二指腸潰瘍の多くは、みぞおち付近に痛みがあらわれますが、病気の生じた場所によっては背中や体の左横(左側腹部)の痛みとなります。痛みは、食事によって変化することが多く、動作や姿勢とは無関係です。食事直後の痛みなら胃の上部の病気、空腹時の痛みなら胃の下部や十二指腸の病気のことが多いです。まずは胃酸を抑える薬を使用しますが、改善しない場合や日に日に痛みが強くなってくる場合には、胃癌など他の病気の可能性もあるため、詳しい検査をお勧めします。

医療法人 大原内科医院 より引用

まとめ

今回述べたように、腰痛の基礎知識で学んだことは5つありました。

  • 1つ目は、慢性腰痛の85%は原因不明で病名を特定できないこと。
    腰痛を引き起こすような、思い当たる病気もないのに腰痛が長く続く場合で、普段の姿勢やストレスが原因で起こります。よく知られているところでは「ぎっくり腰」もその一つです。
  • 2つ目は、脊柱(背骨)が頭と身体を支え、動かしていること。
    脊柱(背骨)には「上半身を支える」「体を前後左右に動かす」「中枢神経の脊髄(せきずい)を保護する」、この3つの大切な働きがあります。背骨は1本のまっすぐな骨ではなくて、「椎骨(ついこつ)」と呼ばれる小さな骨がいくつも連結されてできています。
  • 3つ目は、おもに4つの筋肉が腰を支えていること
    筋肉によって、脊柱(背骨)を支えることで姿勢が保たれ、歩くことや運動ができます。小さな骨がいくつも連結されてできている脊柱は、そのままでは不安定です。これをガッシリと支えている重要な筋肉は「脊柱起立筋」「腹直筋」「大殿筋」「腸腰筋」の4つです。
  • 4つ目は、腰痛の原因は、骨の変化と7つの危険因子があること。
    骨の老化の多くは、椎間板から始まりす。加齢により、水分量が減少すると、クッション性が失われたり、薄くなったりして、椎間板が変性(量的・質的に変化)してつぶれます。

    骨の変化に、更に「危険因子」が加わると腰痛が起こることがあります。危険因子には、加齢のほか、遺伝子体質、運動不足、腰に負担がかかる仕事、ストレス、喫煙、重労働などがあります。
  • 5つ目は、腰以外に痛みが起こる、「放散痛」と「関連痛」の2つがあること。
    「放散痛」は、ある動作をすると「お尻、脚、お腹」など、腰以外の部分にも痛みがひびくような症状で、たとえば、「歩くとき、座ったり、立ったりしたときに脚の裏側が痛くなる」という症状です。このような症状を「坐骨神経痛」と呼びます。

    「関連痛」は、動作や姿勢とは関係なく、痛みのある腰以外のはなれた部位に感じる痛みのことで、原因は様々な内臓の病気によって引き起こされる場合が多いです。重大な病気が隠れている場合があるので、期間をおかずに整形外科を受診して原因を確かめることが大切です。
  • このように、腰痛の原因は老化による骨の変化だけではなく、姿勢の悪化や生活習慣の乱れ、精神的なストレス、重大な内臓の病気など、さまざまな原因が隠されています。痛みとうまく付き合っていくためには、腰痛を正しく理解することがとても大切です。

あなたの「腰痛改善」に役立つことを心から願っております。

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