腰痛に悩まされている人は、国民の10人に1人、病気やケガで第1位

勤労者の腰痛の実態 腰痛発生の危険因子 腰痛予防の取り組み

あなたと同じように、「腰痛」に悩まされている人は、どの位いるんだろう?

なんで私だけが、こんなにも「腰痛」に苦しんでいるんだろうと思いませんか?

そこで、公的機関の資料を基に、「腰痛」の状況を調べてみました。

❶「腰痛」は「自覚症状のある病気やけが」で常に上位

「腰痛」は国民生活基礎調査で「自覚症状のある病気やけが」として常に1位、2位を独占しています。
平成28年度では、腰痛を自覚症状として訴えてる人は、
人口1,000人あたり男性では91.8人、女性では115.5人いました。

おどろくほど多いですね!
国民の約10人に1人は腰痛に悩まされている計算になります。

同調査ではなんらかの疾病で通院している人の理由も調べています。
調査結果は人口1,000人あたり男性では41.4人、女性では56.6人が腰痛症のために通院していることがわかりました。
「腰痛」の自覚症状及び通院ともに女性の方が多いのには、おどろきですね。

自覚症状のある病気やケガ 男女比較 男性1位腰痛 女性2位腰痛

なお「足腰の痛み」の自覚症状がある65才以上の高齢者では、男性では210.1人、女性では266.6人と全年齢の平均値の約2倍以上に跳ね上がります。
このことからも、分かるように40代が腰痛改善の最後のチャンスであることがわかります。

私も「腰椎椎間板ヘルニア」を発症したのが43才のときでした。
とてもつらい「腰痛」体験をきっかけに腰痛予防に取り組むようになりました。

40代の内に、いかに「腰痛」を予防、改善するかがポイントとなります。
このように「腰痛」は国民病と言われるほど多く、調査結果をみましても特に40代~60代の中高年に多い状況となっているのがわかります。

【厚生労働省 平成 28 年 国民生活基礎調査の概況より引用】

ちょっとは気持ちが楽になりませんか?

「腰痛」の状況の調査結果をみて、どのように感じましたか?

以外に多くの人が「腰痛」で自覚症状を訴えたり、通院している状況がわかったと思います。
なんだか、私だけでなく多くの人が共に「腰痛」に悩まされているんだと分かって、
ちょっとホッとして気が楽になりませんか!

これからの腰痛予防や腰痛改善に向けて、少しは前向きな姿勢で頑張れる気がしますね。

❷勤労者の「腰痛」の実態について

「腰痛」発症という、特定の疾患が発生する確率を上昇させる因子である危険因子としては、
これまでは作業姿勢、作業動作、作業環境などが指摘されて来ました。

しかし、ヨーロッパ州やアメリカ州の欧米諸国では新たな危険因子として、職場での精神的ストレスである心理的因子・社会的因子の関与を、それとなく示す論文が多く出ていますが、わが国では心理的・社会的な見方からなされた事細かな研究はこれまでありませんでした。

今回は、腰痛発症の危険因子に関して、心理的・社会的因子を含む、さまざまなアンケートにより、病気の原因の解明、病気の予防・診断・治療の改善、患者さんの生活の質の向上などのために行う医学研究である臨床研究を行いました。

更に、ある集団の、ある一時点での健康状態や病気の有無と、その原因と考えられる要因が有るか無いかを同時に調査する事で、その関連性を明らかにし、臨床研究の方法である横断研究を行った結果から、以下のようなことがわかりました。

ここでは、聞きなれない用語などが出てきて、むずかしい印象を受けますが、かなり細かく綿密に研究された結果だと信用できますね。

腰痛発生における5つの危険因子

① 作業姿勢に関しては、立って仕事をする時間の中でも

  • 「下を向いたままの姿勢」
  • 「上を向いたままの姿勢」など、腰に負担がかかる姿勢が長いほど「腰痛」が発症する割合が高くなります。

② 作業動作に関しては、

  • 「身体を前後に曲げる動作」
  • 「腰を、ひねる動作」
  • 「物や人を上げる動作」
  • 「押す動作、引っ張る動作」など、従事する時間が長いほど「腰痛」が発症する割合が高くなります。
腰痛発生の危険因子 下を向いたままの姿勢 長時間労働 腰への負担下を向いたままの姿勢
腰痛発生の危険因子 物を上げる 押す動作 長時間労働 腰への負担物を上げる・押す動作
腰痛発生の危険因子 人を介助する動作 長時間労働 腰への負担人を介助する動作

③ 作業環境に関しては、

  • 揺れや振動を伴う職場
  • 作業をするのにせまくて、きゅうくつな職場
  • 足場に段差や、障害物が多い職場
  • 足場がすべりやすいなど、不安定である職場
  • 寒さを感じる職場
  • 暑くて汗をかくが、着替えられないため、逆に身体が冷える職場
  • 照明が暗く、物が見えづらい職場
  • 音や声がうるさい職場など、作業環境に不備があるほど「腰痛」が発症する割合が高かくなります。

④ 心理・社会的要因に関しては、

  • 心理的な仕事の量、または質の負担
  • 自覚的な身体の負担度
  • 職場における対人関係でのストレス
  • 職場環境によるストレスなど、ストレスが多いほど「腰痛」が発症する割合が高くなります。

⑤ 職場環境に関しては

  • 仕事のコントロール度
  • 労働者が感じている仕事の適正度
  • 労働者が感じている働きがい
  • 上司や同僚からのサポート
  • 仕事や生活の満足度など、サポートやコントロール度が少ないほど、「腰痛」が発症する割合が高くなります。

ほかにも、

  • イライラ感などの心理的な、つらい事情
  • 首が痛いなどの身体的な、つらい事情など、心理的・身体的な負担が多いほど、「腰痛」が発症する割合が高くなります。

これらの得られた知識、見識から、職場での腰痛発症の危険因子としては、従来考えられていた作業姿勢、作業動作、作業環境に加えて新たな因子として、職場でのストレスといった心理的・社会的要因の関与との関連性が認められました。

今後は職場での腰痛対策として、ストレスによる心理的・社会的要因に対する対策が必要になる可能性を、それとなく示しました。

参考資料は、【独立行政法人労働者健康福祉機構 労災疾病等13分野医学研究・開発、普及事業】より引用

「腰痛」にはストレスといった心理・社会的要因が関与

これまでは、「腰痛」発症の、多くは作業姿勢、作業動作、作業環境などの要因が大きいと思っていましたが、
まさか、このように心理的、社会的なストレスが大きな要因になっているとは、おどろきですね。
昨今の「腰痛」が増えている要因はストレスが大きく関与していた、ということです。

➌「腰痛」は業務上の疾病発生でもダントツ!

「腰痛」は職場での要因が大きいのは分かりましたね。
それでは、業務上での「腰痛」の状況はどのようになっているんだろう?

業務上の疾病発生は全体では年間7,844件あります。
その内「腰痛」は5,078件と多く、実に疾病発生全体の64.74%にも上ります。

国民の約1割が腰痛 業務上の腰痛発症率は約65%

業種別での、ワースト3、は

第1位は、保健衛生業(看護・介護従事者など)の1,596件で「腰痛」全体の31.43%

第2位は、商業・金融広告業(デスクワーク・長時間勤務が多い)の868件で「腰痛」全体の17.09%

第3位は、運輸交通業(運転業務・荷受運搬など)の713件で「腰痛」全体の14.04%

この後に、食料品製造業204件、建設業203件と続きます。

このワースト3業種合計で、なんと「腰痛」全体の62.56%にも上ります。
3業種に共通している要因は他業種にくらべて長時間労働が比較的に多いのと、腰に負担がかかる作業が多いことが予想できます。

参考資料 【厚生労働省 平成29年業務上疾病発生状況(業種別・疾病別)】より引用

➍腰痛予防への取組み準備を始めよう!

腰痛の要因 職場環境の影響 業務上の作業内容の影響 腰痛の予防

「腰痛」の要因が職場環境や業務上の作業内容に大きく影響しているのは、分かっていても、なかなか自分個人の力では、その要因を変えることは、現実的には、かなり、むずかしいですよね。

そこで、自分個人の努力で「腰痛」の予防や改善を進める事ができる対策をみていきます。

「腰痛」対策、4つのポイント

・ひとつ目:「腰痛」を招く生活習慣の見直し

運動不足、肥満、喫煙、睡眠不足などを解消していくこと

・二つ目:正しい姿勢」保ち方

(一例)カバンをいつも左側だけで持っていると、長年の間に背ぼねがまがってしまうことがあります。

・三つ目:生活動作を注意する

・「キッチン」や「洗面所」での体の使い方
・「荷物の上げ下ろし」や「掃除機かけ」での体の使い方
・「イスの正しい座り方」の姿勢

・四つ目:腰を休める「マットレス」の活用が最も効果あり

睡眠中にいかに、体の疲れを取ることができるか、また「腰痛」予防や腰痛改善ができるかどうかが、大きなポイントになります。

スッキリと目覚め、快適な朝を迎えよう

あなたは、この4つの「腰痛」対策を、コツコツと根気強く努力することで、「腰痛」の悩みから少しずつ解放され、スッキリとした目覚めと快適な朝を迎えるようになっていきます。

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