「体圧分散」は、腰痛対策 マットレスで、とても大事といわれる理由

腰痛対策 体圧分散 身体全体に均等に分散 寝返りがうちやすい

マットレスを選ぶときに、もっとも重要なのは寝返りを打ちやすくすることにあります。

寝返りを打ちやすくするには、「体圧分散」をいかにして、うまくできるかが腰痛改善のポイントとなります。

ここでは、「体圧分散」の仕組みが、どのようにして「寝返り」に影響するのかをみていきます。

腰痛の改善にもっとも影響する「寝返り」の重要性

自然でスムーズな「寝返り」3つの働き

身体の圧力や負担をやわらげる

毎日の仕事や家事など生活をしている中で、知らない間に「腰」「肩」「ひざ」などの関節や筋肉に圧力や負担が少しずつ積み重なってきます。

寝返りには、この積み重なった「身体の圧力や負担をやわらげる」働きや、「筋肉を休ませる」という働きがあります。

血液やリンパ液の流れを正常にもどす

睡眠中にずっと同じ姿勢でいると、腰や肩などの圧力がかかりやすい部分に集中して負担がかかり、血液の流れが悪くなります。

また、「老廃物や余分な水分を回収する働きがある」リンパ液の流れも悪くなるのです。

この圧力や負担による「血液の流れ」と「リンパ液の流れ」を「寝返り」によって正常に戻したり調整したりする働きがあります。

睡眠中にその日の身体の「ゆがみ」を正常にもどす

日常の生活の中で無意識のうちに、イスに腰を掛けるときに足を組んで座ったり、ちゃぶ台でお茶を飲むときに横座りをしたりするなど、この何気ない、さまざまな日常のクセが積み重なって、5年、10年と長い時間がたつにつれ身体の「ゆがみ」として現れてきます。

この身体の「ゆがみ」を放置していると次第に腰痛の症状にも影響して悪化することになります。

たとえば、飛行機に乗ったとき、せまい座席で長時間「同じ姿勢」でいると、腰や背中やひざなどが圧迫されて、しびれたり痛くなったりします。この状態を長時間続けると「エコノミークラス症候群」を発症して一大事になります。

この一大事を防ぐために身体は自然と体の向きを変えたり、ひざを伸ばしたりしているのです。これは寝返りと同じ役割をしていることになりますね。

【豆知識】  エコノミークラス症候群、正式名称は[静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)]  下肢や上腕その他の静脈(大腿静脈など)において血栓(凝固した血のかたまり)が生じ、静脈での狭窄・閉塞・炎症が生ずる疾患。しばし無症状性であることが多い。飛行機内などで、長時間同じ姿勢を取り続けて発症することがよく知られている。  Wikipediaより引用

このように、寝返りを打つことによって、身体の圧力や負担をやわらげて、かたよってしまった血液やリンパ液の流れを正常に戻すことで筋肉を休ませているのです。この寝返りは寝ている間に、自然と身体が動き「整体のような働き」をしてくれる働き者なのです。

マットレスの体圧分散とは

体圧分散とは身体にかかる負担や圧力をマットレスなどを利用することで体圧を分散させることです。

睡眠中は、体の重い部位など特定な部位に多くの負荷がかかり圧迫されます。

この圧迫により腰への負担も大きくなります。この体圧を分散させることにより、寝返りがしやすくなり腰への負担も軽減することができるのです。

体圧とは、

自分の体重の重さにより、物に接触する面において重力により生ずる、身体にかかる圧力です。

体圧分散とは

「体圧分散」の役割は、睡眠時に「腰や背中」など局部にかかった圧力を身体全体に均等に分散させ、身体にかかる負担や圧力をやわらげることにあります。

睡眠時には、身体の重い部位など特定な部位に多くの負荷がかかり圧迫されます。

身体には、凹凸があるため、あお向け寝の場合は「肩甲骨・お尻・かかと」に体重が集中し、横向き寝の場合には「肩や腰」の部位に体重が集中し、局部で身体を支えることになります。

部位ごとにかかる体圧分布は、あお向けの寝姿勢でみると「腰・お尻に44%」「背中・胸部に33%」「脚部に15%」「頭部に8%」の負担がかかるといわれています。

部位別 体圧分散 背中 腰の部位に圧力が集中 体重による圧力を分散

その中でも一番負担の大きい「腰・お尻の部位」に、体圧がかかっていることがわかります。

たとえば、朝おきたとき、「腰や肩」などに痛みやだるさを感じたことがあると思います。これは睡眠中に同じ姿勢で寝ている間に、体重による圧力が「腰や背中」に集中することから疲労がたまったあらわれです。

このように、睡眠時には、身体の重い部位など特定な部位に多くの負荷がかかり圧迫されます。

体圧分散とは、身体の局部に集中する負担や圧力をマットレスや敷布団などを利用することで体全体に「均等に分散」させることです。

体圧分散が高すぎると逆効果になってしまう

体圧分散が高すぎる 身体が沈み込みすぎる 腰への負担が大きい

体圧分散が高すぎると、身体が沈み込み過ぎるため寝返りが打ちにくくなったり、睡眠中にムレを感じたりすることがあります。

体圧分散は、マットレスの表面がやわらかく、身体全体に密着すると体圧分散が高くなります。しかしながら「やわらかすぎて身体が沈み込みすぎる」と悪い寝姿勢になってしまいます。

たとえば、「低反発マットレス」は、やわらかく、寝心地がよく、耐圧分散にすぐれているといわれていますが、あお向けになって寝ていると、時間の経過とともに腰やお尻が少しずつ沈み込んでしまい、身体が「くの字」に密着した状態になってしまいます。

身体が沈み込みすぎて、密着しすぎると起こる3つの逆効果

寝姿勢が悪くなる

理想の寝姿勢は、横向きの場合、背中からお尻まで背骨が一直線になっており、ゆがみのない寝姿勢になっています。

しかしながら「身体が沈み込みすぎる」マットレスでは「腰やお尻」の部位が沈んでしまい、背骨が曲がった寝姿勢になってしまうため、腰痛が悪化することがあります。

寝返りがうちにくい

やわらかく、反発力が低いと「身体が沈み込みすぎる」寝姿勢になります。寝返りをうつときに余分な力を必要とするため、寝返りが打ちにくくなることがあります。

睡眠中にムレやすい

マットレスに身体が密着しすぎると、通気性が悪くなり、身体の汗や熱がこもってしまいムレやすくなります。

なぜ「体圧分散」は必要なのか?

均等な体圧分散 局部の圧力を体全体に分散 体を均等に持ち上げる

睡眠中に、同じ姿勢でいると、「腰や肩」などの圧力がかかりやすい部位に集中して負担がかかり圧迫されます。

体圧がかかった部位には、筋肉の疲労や血管が圧迫されるため、血液の流れやリンパ液(老廃物や余分な水分を回収する働きをする)の流れも悪くなります。

この体圧による圧迫を改善するため、身体は無意識のうちに「過度の寝返り」をうつようになります。圧迫の度合いが強いほど寝返りが頻繫になり、良質な睡眠を得ることができなくなるのです。

このように、体圧分散は局部にかかる圧迫や痛みを改善することでスムーズな寝返りを実現します。

血液の流れもよくなり、疲労回復へとつながります。身体全体を均等に支えるため理想の寝姿勢を維持することができるようになり、「体圧分散」は腰痛の改善にはとても必要な働きです。

「体圧分散」3つの効果

身体の重い部位など、圧力が局部に集中するのを防ぐ

腰やお尻、肩や肩甲骨など局部にかかる圧力を身体全体に均等に分散させることで局部にかかる圧迫をやわらげる働きがあります。

とくに腰への負担を軽くすることから腰痛の改善に効果があるといわれています。

「床ずれ(とこずれ)」の予防に役立つ

医学的には「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれていますが、病気療養中の人や高齢で筋力が弱く寝返りが困難な人は、長期にわたり同じ姿勢で寝ることがあります。

長期の寝たきり等になった場合は、身体とマットレスとの接触局部で血行が悪くなり、皮フから筋肉の細胞が死滅する「壊死(えし)」を起こすことがあります。

予防対策として、体圧分散性にすぐれたマットレスを使用することで局部にかかる圧力をやわらげることができます。体圧分散は医学的にも「床ずれ」の予防対策として効果があるといわれています。

寝返りがしやすく、理想の寝姿勢を維持する

体圧分散ができていると、身体全体が支えられ、肩からお尻まで背骨が一直線になります。このゆがみのない理想的な寝姿勢を維持することができるようになり、寝返りもしやすくなるのです。

 

「体圧分散」まとめ
「体圧分散」の役割は、睡眠中の「腰や背中」など局部にかかる圧力をマットレスなどを利用することで身体全体に均等に分散させ、身体にかかる負担や圧力をやわらげることにあります。

ただし、体圧分散が高すぎると、身体が沈み込み過ぎて、密着しすぎるため寝返りが打ちにくくなったり、睡眠中にムレを感じたりすることがあります。

適度な体圧分散で理想の寝姿勢を保ち、スムーズな寝返りを実現するためには、「高反発マットレス」の利用が効果的です。身体の沈み込みを防ぎ、身体を均等に持ち上げてくれるので、理想の体圧分散を維持することができます。

 

シェアしてくれるとうれしいです!